手続きが激変!住所・氏名変更はどう変わる?
大阪の堺の司法書士の植田麻友です。
弊所は南海堺東駅が最寄りの司法書士事務所です。
不動産をお持ちの皆様にとって、これまでの住所変更登記は「住民票を取って、申請書を書いて、法務局へ行く」という、少し手間のかかる手続きでした。しかし、2026年(令和8年)4月から、この流れを劇的に変える新システム「スマート変更登記」が始まります。
今回は、法改正によって新しく導入される「検索用情報の申出」や「職権による登記」など、手続きの簡素化・合理化のポイントを司法書士の視点でどこよりも詳しく解説します。住所変更の義務化に備えるためにも、ぜひ最後までご一読ください。
1 スマート変更登記とは?制度の全体像
スマート変更登記とは、不動産登記システムと住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)をデジタルで連携させることで、住所や氏名の変更登記を効率化する仕組みの総称です。
これまでは、名義人が引越して役所に転出・転入届を出しても、法務局がその情報を自動で把握して登記簿を書き換えてくれることはありませんでした。名義人本人が「法務局へ申請する」というアクションを起こさない限り、登記簿の情報は古いまま放置されていたのです。これが「所有者不明土地問題」の一因にもなっていました。
しかし、今回の改正によって、あらかじめ一定の情報を登録しておくことで、本人が申請しなくても「法務局側で住所変更を検知し、登記を更新する」ことが可能になります。これは不動産登記の歴史の中でも非常に大きな転換点と言えます。
2 手続きを劇的にラクにする「検索用情報の申出」
スマート変更登記の恩恵を受けるために欠かせないのが、新しく創設される「検索用情報の申出」という制度です。これは、いわば「登記簿とマイナンバー情報の紐付け予約」のようなものです。
情報の紐付けを確実にする仕組み
現在の不動産登記簿には、実は「生年月日」などの個人を特定するための詳細な情報は記録されていません。「氏名」と「住所」だけで管理されているため、法務局側では、役所の住民票データの中にいる「山田太郎さん」が、登記簿上の「山田太郎さん」と同一人物であるかを100%判断することが難しかったのです。
そこで、名義人が自ら「自分の氏名・住所」に加えて「生年月日」などの情報を法務局に申し出ます。これにより、法務局のシステムが住基ネット上の情報と名義人を確実に一致させ、管理することができるようになります。
一度の申出で「一生」の手間がなくなる
一度この申出を行っておけば、将来的に日本国内のどこへ引越しても、あるいは結婚等で氏名が変わっても、システムが自動的にその変化を追えるようになります。2026年から始まる住所変更登記の義務化では「引越しから2年以内の申請」が求められますが、この制度を利用すれば、うっかり申請を忘れてペナルティ(過料)を受けるリスクを最小限に抑えることができます。
3 職権で登記が書き換わる具体的なプロセス
検索用情報の申出を行っている場合、実際に住所や氏名が変わるとどのように登記が更新されるのでしょうか。個人と法人では手続きの性質上、少し異なるルールが適用されます。
個人の場合:プライバシーを守る「意思確認」のステップ
個人の場合、法務局がシステムを通じて住所変更を検知しても、勝手に登記を書き換えるわけではありません。まず名義人に対して「住基ネットで住所変更を確認しました。登記を最新のものに書き換えてもよろしいですか?」という通知(意思確認)が届きます。
この通知に対し、本人が「はい、お願いします」と承諾することで、初めて登記官が職権(法務局の権限)で登記を最新の情報に更新します。本人の知らないところで勝手に情報が変わることはないため、プライバシーや安心感にも配慮された設計になっています。
法人の場合:同意不要でスピーディーに連動
法人の場合は、よりスピード重視の仕組みとなります。商業登記(法人の登記)と不動産登記が「法人番号」を介して強力に連携されます。法人が本店の移転登記を行えば、不動産登記側でも自動的に住所が更新される仕組みです。法人には個人ほどのプライバシー保護の必要性がないため、意思確認のステップを省き、登記漏れを徹底的に防ぐ合理的な運用が行われます。
4 メリットは手間だけじゃない!コスト面での優遇
スマート変更登記の導入にあたって、利用者にとって非常に嬉しいコスト面でのメリットも検討されています。
登録免許税の非課税化
通常、自分で申請する場合でも、司法書士に依頼する場合でも、国に納める「登録免許税」という税金が必要です。これは不動産1個につき1,000円かかります。例えば、マイホーム(土地1筆・建物1棟)の住所変更なら2,000円です。
しかし、この新しい仕組み(職権による変更登記)を利用する場合については、この登録免許税を非課税(無料)とする方向で調整が進んでいます。つまり、事前に情報を申し出ておけば、将来の引越しに伴う登記費用をゼロにできる可能性があるのです。複数の不動産をお持ちの方や、転勤等で引越しが多い方にとっては、非常に魅力的な制度です。
5 なぜ「今」から準備を始める必要があるのか
「制度が始まる2026年4月まで待てばいい」と思われるかもしれませんが、実は早めに動いておくべき重要な理由があります。
「過去の引越し」はスマート変更登記の対象外
この新しいシステムは、あくまで「制度開始後の新しい住所変更」を自動でキャッチするためのものです。もし現時点で、すでに登記簿の住所が古いまま(数年前の住所など)になっている場合は、まず一度、従来の方法で「現在の住所」に直す登記申請を完了させなければなりません。この段階を経て初めて、将来のスマート変更登記のレールに乗ることができるのです。
書類の「保存期間」という大きな壁
登記簿上の住所を現在の住所に直すには、その「繋がり」を証明する住民票や戸籍の附票が必要です。しかし、これらには役所での保存期間(除票になってから150年、以前は5年でした)があります。あまりに長く放置し、古い住所の記録が役所で廃棄されてしまうと、住所の繋がりを証明することが極めて困難になります。その場合、手続きの難易度が上がり、費用も通常より高くついてしまうケースが多々あります。
6 まとめ:義務化に備えた賢い不動産管理を
2026年から始まる「スマート変更登記」は、デジタル時代の新しい不動産管理の形です。これを利用することで、将来の住所変更登記の義務化に自動的に対応でき、過料(罰金)のリスクからも解放されます。これは「義務を果たす」というだけでなく、「自分の大切な資産を守る」ための非常に有効な手段です。
まずは、ご自身の不動産の登記簿が今どうなっているかを確認することから始めましょう。当事務所では、登記簿の現状確認から、過去の複雑な住所変更の整理、そして新制度へのスムーズな移行までを一貫してサポートしております。
「自分の不動産は今のままで大丈夫?」「スマート変更登記の準備をしたい」と少しでも思われた方は、ぜひ一度、お気軽に当事務所までお問い合わせください。堺市の皆様の安心を、登記のプロとして全力でサポートいたします。
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私が記事を書きました。
中小企業をを元気にする活動をしています!!

司法書士・行政書士/植田麻友
| 1988年岸和田生まれ、堺育ち。2011年司法書士試験合格。父親が中小企業経営者であったが、幼い頃に会社が倒産し、貧しい子供時代を過ごした経験から中小企業支援を決意。現在は、大阪府堺市で司法書士事務所を開業し、相続・法人(商業)登記をメインに活動をしています。 |






