【司法書士が解説】相続手続きの戸籍謄本、どこまで必要?集め方から読み解き方まで完全ガイド

【司法書士が解説】相続手続きの戸籍謄本、どこまで必要?集め方から読み解き方まで完全ガイド

~堺市で相続手続きをお考えの方へ、司法書士が詳しく解説~

大阪の堺の司法書士の植田麻友です。

弊所は南海堺東駅が最寄りの司法書士事務所です。

はじめに

「親が亡くなって相続が始まったけれど、金融機関や法務局から『まずは被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を…』と言われ、途方に暮れてしまった」
「戸籍謄本がなぜこんなに沢山いるのか、どこまで集めれば終わりなのか分からない」

相続手続きを経験された多くの方が、この「戸籍収集」という最初の大きな壁に直面します。普段あまり馴染みのない戸籍謄本を、何通も、時には何十年も遡って集める作業は、想像以上に時間と手間がかかるものです。

このコラムでは、相続手続きの根幹をなす「戸籍収集」に焦点を当て、なぜ必要なのかという基本から、具体的な戸籍の種類、堺市での集め方、そして専門家である司法書士に依頼するメリットまで、分かりやすく徹底的に解説します。

なぜ相続手続きに大量の戸籍謄本が必要なのか?

相続手続きにおいて、戸籍謄本は「誰が法的な相続人であるか」を客観的に証明する唯一無二の公的書類です。遺言書がない場合、法律で定められた相続人(法定相続人)全員で遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」を行う必要がありますが、その大前提として「相続人が一人も漏れなく、かつ間違いなく確定している」ことが絶対条件となります。

  • 不動産の名義変更(相続登記)
  • 預貯金の解約・名義変更
  • 株式など有価証券の名義変更
  • 相続税の申告

これらの手続きを行う全ての機関(法務局、金融機関、証券会社、税務署)から、相続関係を証明するために戸籍謄本一式の提出を求められます。

【根拠法】
誰が法定相続人になるかは、民法で定められています。例えば、民法第887条では子、第889条では直系尊属(父母など)や兄弟姉妹が相続人になる場合について規定されており、これらの関係性を公的に証明するのが戸籍の役割です。

【種類別】相続で必要になる戸籍謄本とは?

「戸籍」と一言で言っても、実はいくつかの種類があります。コンピュータ化や法改正によって様式が変わるため、古い年代に遡るほど様々な種類の戸籍を取得することになります。

戸籍の種類 内容 なぜ必要か
戸籍謄本(現在戸籍) 現在の家族関係(夫婦、子など)が記録されているもの。コンピュータ化されたものが主流。マイナンバーカードがあればコンビニでも取得可能です、 生存している相続人を証明するために必要です。
除籍謄本 結婚、死亡、転籍などにより、その戸籍に誰もいなくなった状態のもの。 被相続人の死亡の事実や、過去の婚姻・離婚歴、子の存在などを証明します。
改製原戸籍謄本 法改正により戸籍の様式が作り変えられる前の、古い様式の戸籍。 現在の戸籍謄本には記載されていない、より過去の家族関係(前妻の子、認知した子など)を証明するために不可欠です。

特に重要なのが「改製原戸籍(かいせいはらこせき)」です。これを見落とすと、隠れた相続人の存在に気づかず、後々遺産分割協議が無効になるリスクがあります。

どこまで遡る?「被相続人の出生から死亡まで」が必要な理由

手続き機関が「出生から死亡まで」の一連の戸籍を要求するのは、他に相続人がいないことを完全に証明するためです。

人は一生の間に、以下のような理由で新しい戸籍が作られます。

・転籍:本籍地を他の市区町村へ移す

・婚姻・離婚:新しい戸籍が作られたり、元の戸籍に戻ったりする

・法改正:戸籍の様式が作り変えられる(改製)

そのため、亡くなった方の最後の戸籍(死亡の記載がある戸籍)だけでは、それ以前に結婚歴がなかったか、認知した子がいなかったか、などを証明できません。そこで、最後の戸籍から一つ前の本籍地を読み取り、その市区町村役場へ請求…という作業を、出生時の戸籍にたどり着くまで繰り返す必要があるのです。

【実践編】戸籍謄本の集め方・取得できる場所

どこで取得できるか?

戸籍謄本は、その戸籍が置かれている「本籍地」の市区町村役場でしか取得できません。住所地ではないので注意が必要です。また、現在は広域交付という制度があり、これを利用すれば全国どこの本籍地の戸籍も取得可能です。しかし、広域交付には通常の取得とは異なる点がありますので、ご注意ください。

住民票の写しの広域交付の注意点

  • 請求できる人: 本人または本人と同一世帯の方のみ。別世帯の方は、委任状があっても請求できません。
  • 記載事項の制限:
    • 本籍・筆頭者は記載されません。
    • 同一市内での転居の履歴は記載されません。
    • 除票(転出や死亡などで除かれた住民票)は発行できません。
    • マイナンバーや住民票コードは、必要な場合に限り記載できますが、提出先にマイナンバー入りの住民票が必要か事前に確認が必要です。
  • 本人確認: 官公署発行の顔写真付きの本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど、有効期間内で現在の住所・氏名が記載されているもの)が1点必要です。
  • 受付時間: 平日の午前9時から午後5時頃までなど、市区町村によって時間が限られている場合があります。また、住民登録地の市区町村の閉庁日や閉庁時間帯、あるいは住民基本台帳ネットワークが稼働していない場合は交付できません。
  • その他: コンビニ交付に対応している市区町村であれば、マイナンバーカードを利用してコンビニでも住民票の写しを取得できる場合があります。

戸籍証明書等(戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本など)の広域交付の注意点

  • 請求できる人: 本人、配偶者、直系尊属(父母、祖父母など)、直系卑属(子、孫など)のみです。兄弟姉妹の戸籍は請求できません。
  • 郵送・代理人請求の不可: 郵送での請求や代理人(親族を含む)による請求はできません。必ず本人が窓口に出向く必要があります。
  • 取得できない証明書:
    • 一部事項証明書、個人事項証明書(戸籍抄本)は請求できません。
    • 戸籍の附票の写し、身分証明書、独身証明書などは広域交付の対象外です(独身証明書は2025年3月末より一部の自治体で広域交付が可能になった事例もありますが、基本的には本籍地での請求となります)。
  • 発行に時間がかかる場合がある: 本籍地の市区町村に確認が必要となるため、交付までに時間がかかることがあります。特に、過去の除籍謄本や改製原戸籍など、複数の戸籍を遡って請求する場合や、直近で戸籍届出をしている場合は、長時間待たされたり、当日中に交付されず後日の受け取りとなる可能性もあります。時間に余裕を持って来庁することをおすすめします。
  • 筆頭者と本籍地の把握: 戸籍証明書を請求する際には、筆頭者と本籍地(丁目・番地まで)を正確に記載する必要があります。区役所などに電話で問い合わせても教えてもらえない場合があるため、事前に確認しておく必要があります。
  • システム障害の可能性: 法務省の戸籍情報連携システムが不安定な場合など、広域交付が利用できない日時が発生することもあります。

    堺市で手続きを進める方へ:堺法務局と法定相続情報証明制度の活用

    戸籍収集後の手続きもスムーズに進めるための地域情報です。

    堺法務局の基本情報

    堺市内の不動産の相続登記は、堺法務局が管轄です。

      • 所在地:〒590-8507 堺市堺区南瓦町2番29号
      • 電話番号:072-221-2756 (代表)
      • アクセス:南海高野線「堺東」駅から徒歩約5分
      • 登記相談:完全予約制です。電話で必ず予約してから訪問しましょう。
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    【時間短縮の切り札】法定相続情報証明制度

    集めた戸籍謄本一式を管轄法務局(本籍地や保有不動産の所在により確認可能です)に提出し、相続関係を一覧図にした「法定相続情報一覧図」の発行を受けることができる制度です
    一度この証明書を取得すれば、その後の金融機関や税務署での手続きで、大量の戸籍謄本の束を何度も出し直す必要がなくなり、非常に便利です。ただし、この制度を利用する前提として、結局は最初に「出生から死亡まで」の戸籍を全て集める必要がある点に注意してください。

    相続の戸籍収集に関するQ&A

    Q1. 戸籍謄本に有効期限はありますか?
    A1. 戸籍謄本そのものに有効期限はありません。しかし、提出先の機関(特に金融機関)によっては「発行後3ヶ月以内」や「6ヶ月以内」といった独自のルールを設けている場合がありますので、事前に確認することをお勧めします。

     

    Q2. 本籍地が全国に散らばっていて遠いのですが、どうすればいいですか?
    A2. 全国の市区町村役場は、ほとんどが郵送での請求に対応しています。各役場のホームページで請求方法を確認し、定額小為替や返信用封筒を同封して請求しましょう。ただし、往復の郵送に日数がかかり、書類に不備があるとさらに時間がかかるのが難点です。

     

    Q3. 戸籍を遡るのが難しいのですが、何かコツはありますか?
    A3. 最後の戸籍から一つずつ遡るのが基本です。戸籍の「編製日」や「消除日」、そして「従前戸籍」の欄にヒントが書かれています。古い手書きの戸籍は達筆で読みにくいことも多いですが、諦めずに読み解くか、どうしても難しい場合は役所の窓口で相談してみましょう。

     

    Q4. 兄弟や甥・姪の戸籍も勝手に取れますか?
    A4. 相続手続きで必要であるという正当な理由があれば、兄弟姉妹や甥・姪の戸籍も請求できます。ただし、請求の際に、なぜその戸籍が必要なのか(自分が相続人で、他の相続人の戸籍が必要であることなど)を客観的に示す資料(自身の戸籍や被相続人の戸籍など)の提出を求められる場合があります。

     

    Q5. 「戸籍の附票(ふひょう)」とは何ですか?なぜ必要ですか?
    A5. 戸籍の附票とは、その戸籍が作られてから現在までの住所の履歴が記録された書類です。不動産の登記手続きでは、被相続人の最後の住所と登記簿上の住所が一致していることを証明するために必要となります。戸籍謄本と同じく、本籍地の役所で取得します。

    まとめ:複雑な戸籍収集は、専門家への相談が解決の近道です

    ここまで、ご自身で相続の戸籍収集を行うための方法を詳しく解説してきました。手順を一つずつ踏めば、ご自身で完了させることも不可能ではありません。

    しかし、

    • 平日は仕事で役所に行ったり、電話したりする時間がない
    • 本籍地が遠方で、郵送でのやり取りが煩わしい
    • 戸籍を読んでみたが、内容が複雑で読み解けない
    • 相続関係が複雑(前妻の子、兄弟姉妹が相続人など)で、誰の戸籍まで集めるべきか判断できない

    このような場合は、無理せず専門家である司法書士にご相談いただくことをお勧めします。
    私たち司法書士は、相続の専門家として戸籍を正確に読み解き、職務上の権限で全国の戸籍をスピーディーに収集することが可能です。複雑な手続きは専門家に任せることで、皆様の貴重な時間と精神的なご負担を大幅に軽減できます。

    司法書士事務所Mayでは、堺市を中心に相続に関する初回のご相談を承っております。「まずは何から始めればいいか」といった漠然としたご不安から、具体的な手続きのご依頼まで、親身に対応いたします。どうぞお気軽にお問い合わせください。

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    司法書士・行政書士/植田麻友

    1988年岸和田生まれ、堺育ち。2011年司法書士試験合格。父親が中小企業経営者であったが、幼い頃に会社が倒産し、貧しい子供時代を過ごした経験から中小企業支援を決意。現在は、大阪府堺市で司法書士事務所を開業し、相続・法人(商業)登記をメインに活動をしています。
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