会社設立時の資本金の適切な設定方法
こんにちは、司法書士の植田麻友です。
今回は、多くの起業家や経営者が頭を悩ませる「会社設立時の資本金の適切な設定方法」について、詳しく解説していきます。資本金の設定は、事業のスタート時において非常に重要な要素となります。適切な資本金の設定は、事業の成功の鍵とも言えるでしょう。
①資本金の最低設定金額
日本の法律において、会社設立時の資本金の最低設定金額は1円からとなっています。
これは、法律上の最低限度であり、実際のビジネスの規模や業種によっては、この金額では不十分となる場合が多いです。
資本金の金額は、外部からの信用度や経営の安定性を示す指標として、取引先や金融機関、投資家からの評価に大きく影響を与える要素となります。
そのため、事業の内容や規模に応じて、適切な資本金の設定が求められます。
Q 資本金は1円で定めても良いでしょうか。
A 登記手続き上は可能ですが、おすすめしません。株式会社を開始すると、少なくとも株式会社設立の登録免許税や公証人手数料、おそらくは税理士・司法書士報酬等で50万円以上は経費が発生すると考えられます。その場合、1円だと会社はすぐに赤字になってしまいます。赤字の記録は残りますので、後々の融資に不利になることも考えられますので、おすすめできません。結局、資金が足りなくなり、役員の資金を注入することになりますので、はじめから資本金として計上することをおすすめいたします。
②資本金の適切な設定額とその根拠
資本金の最適な設定額は、事業の規模や業種、取引先との関係性、将来の事業展開など多岐にわたる要因によって異なります。
以下に、資本金を設定する際の考慮点を詳しく挙げます。
- 事業の規模: 事業の展開を大規模に予定している場合、それに見合った資本金が必要となります。大手企業との取引や大量の商品の仕入れなど、初期投資が大きい場合は資本金もそれに見合ったものが求められます。
- 取引先との信用関係: 特定の業種や大手企業との取引を目指す場合、資本金が一定額以上でないと取引を拒否されることも考えられます。信用情報や取引実績と並んで、資本金は取引先からの信用を得るための重要な要素となります。
- 外部からの資金調達: 融資や投資を受ける際、資本金が多いと銀行や投資家からの信用評価が上がることが一般的です。資本金が多いことは、経営の安定性や事業の拡大意欲を示す指標として評価されます。
- 実施する事業によっては必要な資本金の金額がある
③最近の資本金に関する動向
近年、銀行口座の開設や融資を考慮する際、資本金が少なすぎるとそのリスクが高まるという意見が強まっています。
特に、銀行融資を検討する場合、資本金が300万円程度あると、銀行からの信用評価が高まると言われています。この金額は、多くの銀行や金融機関が融資の際の基準として考える安心といえる最低限の資本金となっています。300万円が難しい場合には、弊所としてはお客様には100万円の資本金をおすすめしています。それ以下だと口座開設に時間がかかったり、また、いざ融資を受ける時に審査に通らない可能性が高いためです。(2023年8月時点の情報です)
例えば、GMOあおぞらネット銀行は、口座開設までのスピードが非常に速いため起業家や経営者にとって非常におすすめの銀行となっています。ネット銀行の強みはやはり開設のスピードですので、創業時にすぐに口座を用意するような必要がある場合には最適となります。
まとめ
会社設立時の資本金の設定は、企業の将来を左右する重要な決断の一つです。資本金の金額は、事業の規模や業種、取引先との関係性など多岐にわたる要因によって最適な設定額が異なります。
また、最近の傾向として、資本金の設定額が銀行口座の開設や融資の際の評価基準として重視されるようになってきました。特に、資本金が300万円程度あると、多くの銀行や金融機関からの信用評価が高まると言われています。このため、事業の規模や将来の展望を考慮しつつ、適切な資本金の設定を行うことが求められます。
資本金の設定は、単に法律上の要件を満たすだけでなく、事業の信用度や経営の安定性を示す指標としても機能します。そのため、事業のスタートアップ段階での適切な資本金の設定は、将来のビジネスの成功に向けての大切なステップとなります。
最後に、会社設立を検討されている方は、資本金の設定だけでなく、その他の経営に関する多岐にわたる要因も考慮し、総合的な判断を下すことが重要です。
特に、信頼性の高い銀行との良好な関係を築くことで、そのあとの融資も考慮し、スムーズなビジネスのスタートが期待できるでしょう。
手続きにかかる費用について
1.株式会社設立登記申請
報酬:140,800円(税込)
実費:登録免許税15万円~+公証人手数料31,120円~
2.代表取締役住所非表示措置(配達証明郵便の送付を行う場合) 66,000円~(+郵便費用実費)
3.代表取締役住所非表示措置(司法書士が本店の実在証明を行う場合)88,000円~
※ただし、2.の場合には会社様とのヒアリングによってお受けできない場合がありますので、ご留意ください。
4.代表取締役住所非表示措置の終了 33,000円~
5.合同会社設立登記申請 ※住所非表示はできません。
報酬:140,800円
実費:登録免許税6万円~
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私が記事を書きました。
中小企業をを元気にする活動をしています!!
司法書士・行政書士/植田麻友
1988年岸和田生まれ、堺育ち。2011年司法書士試験合格。父親が中小企業経営者であったが、幼い頃に会社が倒産し、貧しい子供時代を過ごした経験から中小企業支援を決意。経営者とその家族まで支援できる企業・事業承継支援を行う。 |
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