【商業登記】書面決議により株主総会を開催する場合
司法書士の植田麻友です。
株主総会は通常、議決権のある株主全員に招集通知を送り、株主が株主総会の場に出席するか、委任状を送付する等の方法により行うことになります。
一方で、株主が少数であれば、全員に招集通知を送るという方法をとらず、かつ、現場に集まることなる、株主総会を決議できる場合があります。
そのような方法を、書面決議と言います。
書面決議とは
取締役または株主が、株主総会の目的である事項について提案をいた場合に、当該提案につき株主の全員が書面または電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決した旨の株主総会の決議があったものとみなす(会社法第319条第1項)
つまり、株主の全員の同意があれば、同意の意思表示(書面でも電磁的記録、例えばメール等)を行うことで株主総会の決議があったものとみなされるものです。
これは少数の株主の会社では非常に利用しやすい制度です。招集通知の場合、1週間前までに発送する必要がありますが、そういった期間制限がないことも非常に有用です。
手続きの流れ
①取締役会決議
株主総会の書面決議を行うには、書面決議を行うことにつき取締役会の決議が必要です。
②株主の同意
取締役または株主が提案した決議事項につき、株主全員が書面または電磁的記録により同意の意思表示を行う必要があります。(会社法319条第1項)また、当該書面または電磁的記録は、本店に10年備え置かれ、株主・債権者・裁判所の許可を得た親会社社員の閲覧・謄写請求の対象となります。
株主総会の決議があったものとみなされるときは、全株主の同意書がすべて会社に到達した時とされているので、株主全員の同意を得られる期間を考慮して行う必要があります。ただし、将来の一定の時をもって同意の効力が発生する旨の同意書がある場合には、その時に、決議があったものとみなされる時となります。
③株主総会議事録の作成
書面決議を行った場合でも、株主総会議事録を作成し、備え置く必要があります。記載事項は、通常の株主総会議事録と異なり下記のとおりとなます。
・株主総会の決議があったものとみなされた事項の内容
・当該事項の提案をした者の氏名又は名称
・株主総会の決議があったものとみなされた日
・議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
書面決議におすすめの会社
株主が多数いる場合には、すべての株主から同意書をいただくことは容易ではないかもしれません。一方で、少数の株主の場合、役員と株主が同一の場合には、同意書をいただくことは比較的容易でしょう。
会社の形態に応じて株主総会の開催方法も検討することをおすすめいたします。会社の株主・役員によりスムーズな株主総会の開催方法は異なりますので、詳細は司法書士へ問い合わせいただければと存じます。
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司法書士・行政書士/植田麻友
1988年岸和田生まれ、堺育ち。2011年司法書士試験合格。父親が中小企業経営者であったが、幼い頃に会社が倒産し、貧しい子供時代を過ごした経験から中小企業支援を決意。経営者とその家族まで支援できる企業・事業承継支援を行う。 |
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