【司法書士が解説】未成年が相続人にいる場合の注意点
大阪の堺の司法書士の植田麻友です。
弊所は南海堺東駅が最寄りの司法書士事務所です。
相続が発生したときに、相続人の中に「未成年の子ども」がいるケースは少なくありません。この記事では、未成年が相続人になる場合の注意点を、小学生でもわかるような言葉で、ていねいに説明します。
なぜ注意が必要なの?
未成年者は、法律上「自分で契約などができない」とされています。そのため、相続に関する手続きでも、必ず「代理人」が必要になります。相続では、遺産分割協議という相続財産の分配に関する話し合いが必要となりますが、未成年であればその話し合いに参加できないので、別途代理人と立てる必要があるのです。
親が代理人になれないケースとは?
基本的には、未成年の子の代理人は「親(親権者)」がなります。しかし、亡くなった人(被相続人)の子どもが相続人で、その親も相続人になる場合、親が子どもの代理人にはなれません。これは、親と子どもが「相続分の取り分」で利害が対立するからです。つまり、親と子が共に相続人である場合には、相続の話し合いについては、親は子の代理人になることはできません。
未成年の特別代理人の選任が必要となる。
こういったケースでは、家庭裁判所に「特別代理人」を選んでもらう必要があります。特別代理人は親族である必要がありませんが、親族(例えば祖父母等)を選ぶことが多くなっています。
手続きの流れ
- 家庭裁判所に「特別代理人選任申立書」を提出します。この申立書には、誰を代理人に選任するか、どのように遺産分割を行うか等を記載します。
- 必要書類(戸籍や遺産の内容に関する書類など)を添付します
- 裁判所が書類を確認し、問題なければ2〜3か月ほどで選任されます。ただし、希望する遺産分割の内容によっては半年ほど期間がかかる場合もあり、早期の申し立てが必要です。特に相続税申告がある場合には、10か月の期間が定められているため、早めに行う必要があります。
- その後、特別代理人が未成年の代わりに遺産分割協議などを進めます
子どもが複数いる場合の注意点
たとえば、未成年の兄弟が2人いて、両親のどちらかも相続人である場合、それぞれに特別代理人の選任が必要となります。この場合、同じ代理人を選任することができません。代理人が同一だとその兄弟の利益が対立することになりますので、あくまでも別の方を選任することになります。
未成年者がいる場合の申し立ての注意点
特別代理人の選任の申し立てをする際には遺産分割協議書を添付することになります。ただ、裁判所としては、未成年が法定相続分を確保している遺産分割協議を求めることがほとんどです。財産が現金のみであれば、そのような対応も可能でしょうが、不動産ばかりの場合、未成年に法定相続分程度の財産を渡すことが困難となることも珍しくありません。また、親権者が今後も学費や生活費を支援するような状況が考えられるのであれば、財産は親権者が相続する方が今後の生活においても必要であるという事情もあるでしょう。
その場合、未成年の年齢別に弊所としては対応を変えています。
・0歳~中学生(義務教育)の未成年の場合
未成年者の中でも幼い状態であれば、遺産分割の状況も把握できないでしょう。だからこそ、今後の生活は親権者が支える可能性が高く、資産も親権者に集約していることがスムーズであると考えられます。このような場合には、今後の教育や生活支援を親権者が責任をもつ前提として、親権者への財産の承継に意味があることを上申します。その場合には、教育にかかる費用を添付し、根拠資料として提出します。
・高校生の未成年の場合
高校生ともなれば、相続の話し合いの意図も分かることでしょう。法律上は未成年ですが、本人が相続について分かることも多いので、本人の意思を反映した遺産分割協議書を作成しましょう。その上で、本人が親権者に財産を渡すことを承認しており、それが未成年の法定相続を侵害する場合には、自分の意思でそれを選んだことを裁判所に対して直接伝えることも考えられます。
Q&A
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Q1. 親が代理人になるのはなぜダメなの?
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A. 親も相続人である場合、親と子どもで取り分を争うことになるので「利益相反」が発生するからです。
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Q2. 特別代理人は誰でもなれますか?
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A. 親族や弁護士・司法書士が選ばれることが多いですが、裁判所の判断で適任とされる人になります。
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Q3. 申立てにかかる費用は?
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A. 家庭裁判所に納める費用は数百円程度ですが、書類取得や代理人に依頼する場合には報酬を含めて費用がかかります。
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Q4. 特別代理人が選ばれるまで相続登記はできない?
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A. はい。未成年者の手続きには代理人が必要なので、特別代理人が選ばれるまでは進められません。特別代理人を選任せずに行った遺産分割協議は無効です。相続登記や預金解約を行うことができません。
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Q5. 司法書士に相談するメリットは?
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A. 戸籍の収集から裁判所の手続き、不動産がある場合にはその後の登記申請までを一括でサポートできるので、安心して任せられます。
まとめ
未成年者が相続人になるときは、手続きが少し複雑になります。特に特別代理人の選任が必要になる場合は、時間と手間がかかるため、早めの準備が大切です。
わからないことがあれば、お近くの司法書士に相談してみましょう。
堺市で相続登記をお考えの方は、司法書士 植田麻友までお気軽にご相談ください。
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私が記事を書きました。
中小企業をを元気にする活動をしています!!

司法書士・行政書士/植田麻友
| 1988年岸和田生まれ、堺育ち。2011年司法書士試験合格。父親が中小企業経営者であったが、幼い頃に会社が倒産し、貧しい子供時代を過ごした経験から中小企業支援を決意。現在は、大阪府堺市で司法書士事務所を開業し、相続・法人(商業)登記をメインに活動をしています。 |






