【堺の司法書士が解説】取締役の増員・補欠選任を正しく進めるには
~登記・定款・会社法をふまえた実務のポイント~
大阪の堺の司法書士の植田麻友です。
弊所は南海堺東駅が最寄りの司法書士事務所です。
はじめに|取締役の「増員」や「補欠選任」、正しく理解していますか?
経営体制の強化、後継者の登用、ガバナンス改善などを目的に、取締役の増員や補欠取締役の選任を検討する企業が増えています。
しかし、会社法や定款、登記実務を理解せずに進めてしまうと、登記が却下されたり、手続きが無効になったりするおそれがあります。
この記事では、堺市で多数の会社登記を手がける司法書士が、取締役の増員および補欠取締役の選任について、法律と実務の両面から詳しく解説します。
取締役の「員数」は定款で制限されている
会社設立時に作成する定款には、多くの場合「取締役の人数(員数)」についての上限が記載されています。
例:当会社の取締役は1名以上3名以内とする。
この上限を超えて取締役を選任しようとする場合、定款変更(特別決議)が必要です。なお、取締役会設置会社の場合には必ず3名以上の取締役が必要となります。その上で上限を決めているかどうかを定款を見て確認する必要があります。
取締役の増員|会社法の原則と実務
法的根拠
会社法第329条第1項により、取締役は株主総会の決議によって選任されることが原則です。
つまり、増員も「新たに選任する」ことで実現されます。
実務上の流れ
1.定款上の員数制限の確認(変更が必要なら特別決議)
2.株主総会で新任取締役を選任
3.新任取締役の就任承諾書・印鑑証明書の取得
4.2週間以内に管轄法務局に登記申請
注意点
- 法定員数を満たさない場合登記申請が却下される。上限については定款の添付が必須ではないので発覚せず誤っている可能性がある。
- 通常は議決権の過半数が必要(普通決議)
補欠取締役とは?制度と効力の発生条件
補欠取締役とは、現任取締役に欠員が出た場合に備えて(あらかじめ)選任しておく「予備的な取締役候補者」です(会社法第346条第2項)。
ポイント
- 補欠のままでは効力は生じない(欠員発生+就任承諾が必要)
- 株主総会で「補欠」であること、「有効期間」を明示する※議案で補欠であること・任期満了時期を明記すること。
- 補欠取締役が就任した場合は、通常の取締役として登記が必要
登記実務で注意すべきポイント
- 定款の記載及び法令と員数が一致しているか
- 議事録で「補欠」であることが明記されているか
- 就任承諾書・印鑑証明書に不備はないか
特に補欠取締役については、登記は不要ですが議事録記載が不完全だと無効となるリスクがあるため要注意です。
補欠取締役選任に関する株主総会議事録(例)
【議題】補欠取締役の選任の件
議長は、取締役に欠員が生じた場合に備え、補欠として下記の者を取締役を選任する必要がある旨を説明し、次の者を補欠取締役として選任することを提案した。
補欠取締役候補者
氏名:〇〇〇〇
住所:大阪府堺市〇〇区〇〇町〇番〇号
上記の提案を諮ったところ、出席株主の議決により原案通り承認可決された。
【付記事項】
本件補欠取締役の選任は、会社法第346条第2項に基づくものであり、当該取締役に欠員が生じた場合において、当該補欠取締役が就任を承諾したときに効力を生ずる。
有効期間は、次回の定時株主総会の終結の時までとする。
令和〇年〇月〇日
株式会社〇〇〇〇
株主総会議長 〇〇〇〇 印
Q 取締役の改選にかかる費用を教えてください。
A 弊所で手続きする場合は下記のとおりです。
取締役の変更(就任・重任)
報酬:48,400円(税込)~ 登録免許税:10,000円~(※資本金により変動いたします)
定款変更(任期の変更)
報酬;22,000(税込)~
まとめ|補欠取締役・増員の判断と手続きは慎重に
・増員は定款・株主総会・登記がセット
・補欠取締役は「就任時の欠員・承諾」が必要
・議事録には「補欠」である旨・有効期間を必ず記載
中小企業の経営体制強化、事業承継対策として取締役の増員や補欠選任は有効な手段です。
しかし、一歩間違えれば登記不能・無効手続きとなりかねないため、慎重な対応が必要です。
堺市での役員変更・登記は司法書士事務所Mayへ
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堺市での会社経営、役員構成の見直しをご検討の方は、地元に強い司法書士にぜひご相談ください。
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私が記事を書きました。
中小企業をを元気にする活動をしています!!
司法書士・行政書士/植田麻友
1988年岸和田生まれ、堺育ち。2011年司法書士試験合格。父親が中小企業経営者であったが、幼い頃に会社が倒産し、貧しい子供時代を過ごした経験から中小企業支援を決意。現在は、大阪府堺市で司法書士事務所を開業し、相続・法人(商業)登記をメインに活動をしています。 |
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