株式会社設立登記時の「資本金」の決め方|メリットとデメリット

株式会社設立登記時の「資本金」の決め方|メリットとデメリット

大阪の堺の司法書士の植田麻友です。

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会社を設立する際、資本金の額をいくらに設定するかは重要なポイントです。資本金は1円から設定可能ですが、その金額によって信用度、税金、融資、許認可、インボイス制度への対応など、多くの要素に影響を及ぼします。

本記事では、資本金を「100万円未満」「100万円以上300万円未満」「300万円以上1000万円未満」の3つの区分に分けて、それぞれのメリット・デメリットを解説します。また、公証役場での定款認証手数料許認可が必要な具体的な業種、さらにインボイス制度との関係についても詳しく説明します。

【会社設立時の資本金の決め方:金額別のメリット・デメリットと注意点】

資本金とは?

資本金とは、会社設立時に出資者が会社に提供するお金で、事業運営のための初期投資資金となります。この資本金は、会社の信用力税務上の扱い融資の受けやすさ、さらにはインボイス制度への対応など、多方面に影響を与える重要な要素です。


公証役場での定款認証手数料について

株式会社を設立する際、定款(会社の基本的なルールを定めた書類)を作成し、公証役場でその定款の認証を受ける必要があります。この際の公証人手数料は、資本金の額や会社の形態によって異なります。

定款認証手数料の詳細

資本金の額等 手数料 条件
100万円未満 3万円 特定の条件を満たす場合は1万5,000円に減額
100万円以上300万円未満 4万円
300万円以上 5万円

特定の条件とは、以下の3つをすべて満たす場合です:

  1. 発起人が自然人であり、かつその数が3人以下であること。
  2. 定款に発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける旨の記載があること。
  3. 定款に取締役会を置く旨の記載がないこと。

これらの条件を満たす場合、資本金100万円未満の会社の定款認証手数料は1万5,000円となります。


資本金の金額別メリット・デメリット

資本金:100万円未満

メリット:

  • 設立コストの低減:少ない資金で会社を設立でき、初期費用を抑えられます。
  • 定款認証手数料の減額:前述の特定条件を満たす場合、定款認証手数料が1万5,000円に減額されます。

デメリット:

  • 信用力の低下:資本金が少ないと、取引先や金融機関からの信用を得にくくなる可能性があります。特に、1万円や10万円といった過剰に少ない金額はおすすめしません。
  • 融資の難航:金融機関からの融資を受ける際、資本金の少なさがネックとなる場合があります。
  • 許認可取得の制限:業種によっては、資本金要件を満たさないために許認可を取得できない場合があります。

該当する業種の例:

  • 建設業:一般建設業許可を取得するためには、資本金(財産要件)500万円以上が必要です。
  • 人材派遣業:資本金(財産要件)2,000万円以上が求められます。※財産要件ですので他で満たすことができれば許認可取得は可能です。

資本金:100万円以上300万円未満

メリット:

  • 一定の信用力確保:資本金が100万円以上あることで、取引先や金融機関からの信用を得やすくなります。
  • 融資の可能性向上:創業融資などを受ける際、資本金が一定額以上あることで審査が通りやすくなります。

デメリット:

  • 一部許認可の取得不可:資本金要件が300万円以上の業種では、許認可を取得できない場合があります。

    資本金:300万円以上1000万円未満(1番おすすめ!)

    メリット:

    • 多くの許認可要件をクリア:資本金要件のある多くの業種で、許認可を取得可能となります。
    • 高い信用力:取引先や金融機関からの信用が高まり、ビジネス展開がしやすくなります。

    デメリット:

    • 初期投資の増加:設立時に多額の資本金を用意する必要があり、資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。無理してこの金額にする必要はありません。

    該当する業種の例:

    • 建設業:資本金500万円以上で許可取得可能。
    • 派遣業:資本金2,000万円以上が必要。

    資本金1,000万円以上の影響と消費税

    資本金が1,000万円以上の場合、設立初年度から消費税の課税事業者となり、消費税の納税義務が発生します。これに対し、資本金が1,000万円未満の場合、設立から最長2年間は消費税の免税事業者として扱われ、納税義務が免除されます。詳しくは税理士の方への確認をお願いいたします。


     

    ■ 最適な資本金の選び方とは?

    資本金は「多ければ安心」「少なければ節税」という単純なものではなく、事業の種類・目的・成長計画に応じてバランスよく決める必要があります

    以下の点をチェックしましょう:

    • ✅ 融資を検討しているか

    • ✅ 許認可が必要な業種か(建設業・派遣業など)

    • ✅ BtoB取引を行う予定があるか(信用力・インボイス対応)

    • ✅ 設立時の運転資金に余裕があるか

    • ✅ 消費税の納税有無をどう考えるか(免税 or 課税選択)


    ■ まとめ

    会社設立時の資本金は、1円から自由に決められるとはいえ、信用力・許認可・税務・インボイス対応・資金繰りなど、多くの影響を及ぼす非常に重要な要素です。

    資本金額帯 主な特徴と影響
    100万円未満 最小限で設立可能。信頼性や許認可、融資面で制限多め。
    100万円~300万円未満 一般的な小規模企業に多い。ある程度の信用を得られるが制限あり。
    300万円~1000万円未満 多くの許認可や融資に対応でき、バランスがよく安心。
    1,000万円以上 信用は高いが、設立初年度から消費税が課税。慎重な資金計画が必要。

    ■ 専門家への相談をおすすめします

    資本金の額を決めるには、事業の全体像、許認可、税務、インボイス対応など幅広い知識が必要です。
    将来を見据えた最適な資本金を決めるためには、司法書士や税理士に相談することが一番の近道です。

    会社設立は、最初の一歩がとても大切。安心してスタートするために、正しい資本金設定を心がけましょう!

     

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    司法書士・行政書士/植田麻友

    1988年岸和田生まれ、堺育ち。2011年司法書士試験合格。父親が中小企業経営者であったが、幼い頃に会社が倒産し、貧しい子供時代を過ごした経験から中小企業支援を決意。経営者とその家族まで支援できる企業・事業承継支援を行う。

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