司法書士の植田麻友です。
令和6年の4月より相続登記が義務化されてました。これにより、過去の相続も含めて相続登記をしなければ過料を課される状態となったため、相続のご依頼は増加傾向にあります。とはいえ、相続登記の義務化はあくまでも「3年」の猶予があることから、緊急性はそこまで高いものとはいえません。
一方で人が亡くなると、不動産の名義変更以外にもすべき手続きが多く、特に死後直後に行うべきことや不動産のように手続きが統一されていないものも多くなっております。今回のコラムでは、死後一定期間に必要となる手続きや留意点についてお伝えできればと存じます。
1.死亡直後
①死亡診断書・死体検案書
まず、被相続人が死亡した場合には葬儀までの準備が必要となります。葬儀・火葬を行うための準備です。被相続人がどこで亡くなったのかにより書類は異なりますが、「死亡診断書」または「死体検案書」を発行していただきこれを受領いたします。
②葬儀社への連絡
病院で死亡した場合であっても、基本的には葬儀社の手配は家族が行う必要があります。そして、病院は長時間ご遺体を安置できないため、できる限り早く手配を行う必要があります。ご家族が亡くなった悲しみにひたる間もなく、葬儀社を決めることは大変負担となります。そのため、私としてはご本人がお元気なうちにこそ、葬儀社をある程度定めておくことが大切であると考えます。
③死亡届・火葬許可申請書の提出
市区町村へ死亡届を提出する必要があります。法律上、届出人は下記の者に限られています。
・親族
・その他の同居者
・亡くなった場所である家屋または土地の所有者(家主、地主)、もしくは家屋管理人、土地管理人
・後見人、保佐人、補助人、任意後見人及び任意後見受任者
死亡届は代理人が提出することはできませんが、葬儀社の方が取り仕切ってくれることがほとんどです。また、同時に「火葬許可申請書」の提出を行い火葬許可証の交付を受けます。これは葬儀に必ず必要となります。
④通夜・葬儀の実施
火葬許可証を提出し火葬を行っていただきます。この火葬が終了すると納骨を行うことが可能となります。また、葬儀費用については、国民健康保険の制度に基づき「葬祭費」の一定金額の支給がなされますので、葬儀に関する領収書は必ず保管しておいてください。
参考:
2.相続発生直後の手続き【行政】
①年金の受給停止(年金事務所)
・未支給年金の受給・遺族厚生年金の請求が可能かも同時に確認。
②世帯主の変更届(市区町村役場)
・世帯主が亡くなった場合に、残りの世帯に15歳以上が2名以上いる場合に必要となります。
③国民健康保険・後期高齢者医療保険の手続き(市区町村役場)
④介護保険の手続き(市区町村役場)
・65歳以上の被保険者,40歳以上65歳未満で医療保険加入者で要介護・要支援認定を受けていた被保険者のみ。
3.相続発生後の手続き【契約関係】
①生命保険の請求手続き
生命保険会社各社により必要書類が異なりますので、早めにご連絡の上請求することをおすすめいたします。また、生命保険に加入しているか不明の場合には下記サイトより照会を行うことが可能です。
ただし、照会には1か月以上かかることもあるため、事前に保険の確認をしておくことをおすすめいたします。
②公共料金・電話・クレジットカード等各種契約の解約
被相続人が契約している事項についての解約が必要です。どんな契約をしていたかは、通帳やクレジットカードの明細から確認すると発見をしやすいです。契約内容によっては1年に1度の引き落としの場合もありますので過去の記録もさかのぼって確認することが好ましいでしょう。また、支払い不備があった場合等には、被相続人の自宅宛てに郵便が到着し、それにより契約が発覚することもありますので、賃貸借契約はそのままにしておくことをおすすめいたします。ご本人が死亡している場合には、郵便の転送もできませんので、契約に気づない可能性が防ぐためにも賃料は発生いたしますが、賃貸借契約は解約せずにおきましょう。
他にも、NHKの契約や県民共済、サブスク(Amazonやネットフリックス)等も考えられますので、被相続人の物品等から確認するようにしましょう。
③運転免許証・マイナンバーカード等の返納
悪用を防ぐためにも早めに返納することをおすすめいたします。
④高額医療費の払戻請求
被相続人が国民健康保険等の医療保険に加入しており、死亡直前に高額な医療費を負担していた場合には、払い戻しを受けることができる可能性があります。
⑤葬祭費の請求
5万円の支給を受けることが可能です。ただし、請求には宛名の記載のある葬儀の領収書が必要となりますので必ずご保管をお願いいたします。
4.死後事務手続きの依頼について
上記のお手続きは相続人がご自身が行うことも可能です。ただし、相続人が遠方に住んでいたり、平日時間をとることができない仕事である場合、また高齢である場合には、ご自身で上記のような手続きを行うことは困難である場合もあります。その際には、司法書士に委任して任せていただくことも可能です。
特に相続人がご兄弟姉妹の場合には、被相続人と相続人の年齢が近く、比較的高齢である方が当事者になるとご負担も重いと考えます。
また、これらのことは、司法書士といえど資料がなければ、被相続人の契約に関しては網羅することが難しくなっております。それをご家族にお願いするとなるとなおさら難しいといえるでしょう。そのため、お元気なうちに「エンディングノート」という形で、ご自身の契約や資産について記録することをおすすめしております。
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私が記事を書きました。
中小企業をを元気にする活動をしています!!
司法書士・行政書士/植田麻友
1988年岸和田生まれ、堺育ち。2011年司法書士試験合格。父親が中小企業経営者であったが、幼い頃に会社が倒産し、貧しい子供時代を過ごした経験から中小企業支援を決意。経営者とその家族まで支援できる企業・事業承継支援を行う。 |
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