「株式会社 vs 合同会社」ビジネスを始めるあなたへの完全ガイド!②

「株式会社 vs 合同会社」ビジネスを始めるあなたへの完全ガイド!②

こんにちは、司法書士の植田麻友です。

今回は合同会社を設立するメリット・デメリットについて解説いたします。

合同会社のメリット・デメリット

合同会社の仕組みと特徴

合同会社(GK)は、2006年の会社法改正によって新たに導入された会社形態です。合同会社は、1名以上の社員がいれば設立可能であるため、1人で設立が可能となります。

以下、合同会社の主な特徴を詳しく解説します。

  • 社員の責任: 社員の組合員は、出資額に限定した責任を持ちます。これは、株式会社の株主と同じく、組合員が出資した額以上の負債に対しての責任は負わないということを意味します。
  • 社員間の契約の自由度: 合同会社は、社員間の契約の自由度が非常に高いのが特徴です。社員間契約によって、社員の権利義務や事業の運営方法、利益の分配方法などを自由に定めることができます。
  • 経営の柔軟性: 社員間契約に基づき、経営の方針や意思決定の方法を柔軟に設定することができます。これにより、迅速な意思決定や効率的な経営が可能となります。Amazonやappleが合同会社の形態をとっているのも、この自由度の高さが理由になっていると考えます。
  • 設立手続きの簡易さ: 合同会社の設立は、株式会社に比べて手続きが簡易です。公証役場での認証が不要で、登記のみで設立が完了します。これは費用の面にも表れており、合同会社の設立登記は株式会社の設立登記よりも10万円以上安くなります。

デメリット

  • 知名度の低さ: 日本においては、合同会社はまだ新しい会社形態であるため、一般的な知名度は低いです。そのため、取引先や金融機関との信用構築が難しい場合があります。
  • 社員間のトラブル: 社員間契約の自由度が高い一方で、契約内容が不十分であると、組合員間でのトラブルが生じるリスクが高まります。これは株式会社でも同様ではありますが、合同会社は平易に作れるが故にその発生可能性は高いといえるでしょう。
  • 資本金の自由度: 資本金に関しては、株式会社と同様に一円からの設定が可能です。ただし、合同会社の場合、資本組入の金額や出資の方法に関して、株式会社よりも大きな自由度を持っています。

合同会社に適した会社

合同会社はその特性上、特定のビジネスモデルや事業規模に特に適しています。以下に、合同会社として設立することが特に有益と考えられるケースを挙げます。

小規模事業者: 合同会社は、少数の社員での運営が前提となっているため、小規模な事業や家族経営に適しています。

新しいビジネスモデルの試行: 社員間の契約の自由度が高いため、新しいビジネスモデルやサービスを試す際の柔軟な運営が可能です。

短期間での事業終了を予定している場合: 設立・解散手続きが比較的簡易であるため、短期間でのプロジェクトやイベント事業などに適しています。資本組入の自由度を活かしたい場合: 出資の方法や金額を柔軟に設定したい場合、合同会社の形態が有利です。

まとめ

合同会社は、日本の企業形態の中でも比較的新しい形態として、多くの事業者から注目を集めています。その最大の特徴は、社員間の契約の自由度の高さにあります。これにより、事業の内容や規模、社員の意向に応じて、柔軟な運営が可能となっています。

特に、小規模な事業や家族経営、新しいビジネスモデルの試行、短期的なプロジェクトなど、特定のニーズを持つ事業者にとって、合同会社は非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。また、資本組入の自由度を活かすことで、出資の方法や金額を柔軟に設定することができるのも大きなメリットとなります。

しかし、合同会社を選択する際には、その特性を十分に理解し、適切な運営を行うことが求められます。社員間の契約内容の不備や、外部からの信用度の問題など、注意点も多いため、事前の十分な情報収集と検討が必要です。

最後に、企業の形態を選択する際は、自社のビジネスモデルや事業の規模、将来的な展望をしっかりと考慮し、最適な選択を行うことが重要です。合同会社の特性を最大限に活かし、成功へと導くための戦略を練ることが、事業者にとっての大きな課題となるでしょう。

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司法書士・行政書士/植田麻友

1988年岸和田生まれ、堺育ち。2011年司法書士試験合格。父親が中小企業経営者であったが、幼い頃に会社が倒産し、貧しい子供時代を過ごした経験から中小企業支援を決意。経営者とその家族まで支援できる企業・事業承継支援を行う。

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