【会社設立】株式会社を設立する準備/商号の定め方

【会社設立】株式会社を設立する準備/商号編

司法書士の植田麻友です。

株式会社を設立するにあたって決めるべき事項のひとつとして「商号」があります。商号は、つまり会社の名前です。商号自体は、一度決めると変えることができないものではないですが、やはり一番初めの商号というものは会社の経営の中でも重要な存在となります。

商号は自由に定めることができるのか

会社の商号は自由につけることができるのでしょうか。これは完全に自由ではなく、一定の制限があります。商号は、株式会社を設立(登記)する場合に必ず必要となります。主に下記の点に注意してください。

✔ 必ず「株式会社」を入れる必要があります!

✔ 公序良俗に反する商号はNGです!

✔ 「銀行」や「信託」「生命保険」等業種による制限がある場合があります!

✔ 同一住所で同一の商号を用いることができません!

ローマ字の使用について

以前は商号にローマ字・記号の使用はできなかったのですが、現在は可能です。しかし、使用できる記号には制限がありますので、確認していきましょう。

商号登記に用いることができる符号

  (1)ローマ字(大文字及び小文字)
  (2)アラビヤ数字
  (3) 「&」(アンパサンド)
     「’」(アポストロフィー)
     「,」(コンマ)
     「‐ 」(ハイフン)
     「.」(ピリオド)
     「・」(中点)

※(3)の符号は、字句(日本文字を含む。)を区切る際の符号として使用する場合に限り用いることができます。したがって、商号の先頭又は末尾に用いることはできません。ただし、「.」(ピリオド)については、省略を表すものとして商号の末尾に用いることもできます。※なお、ローマ字を用いて複数の単語を表記する場合に限り、当該単語の間を区切るために空白(スペース)を用いることもできます。

つまり、株式会社MaMuという会社を設立する場合に、「株式会社Ma Mu」とスペースを間に設けることはできますが「株式会社マム」の場合「株式会社マ ム」とカタカナの間にスペースを設けることはできません。ローマ字は大文字と小文字を混在することも可能です。

商号に記号やローマ字使用は可能です!

「同一住所で同一の商号を用いることができません!」とは?

先述のとおり、同一の住所に同一の商号の株式会社(法人形態を問わない)を設立することができません。これは、全く同じ住所ですので、同じ市の中で同じ商号の株式会社を設立することは可能です!

ただし、あくまで登記簿上は可能ということですので、別の法律に抵触する可能性がある点はご留意いただければと存じます。(商標や不正競争防止法の問題点はあります。後述いたします)

また、同一の商号というのも完全に同じという意味ですので、下記は同一の商号にあたりません。

✔ ABC株式会社と株式会社ABCは別の商号

✔ ABC株式会社とABC合同会社は別の商号

✔ ABC株式会社とエービーシー株式会社は別の商号

一方で、この同一性には読み方は含まれませんので、「株式会社植田」としたものが「ウエダ」「ウエタ」と読み方が違っていても、同一の商号となる点は注意が必要です。また、現在は商号については読み方についても登録されています。

同じ住所で同じ名前の会社は存在できません!

似たような名前は許されるのか?

結論としては、可能な場合とそうでない場合があります。注意すべきなのは「商標登録」と「不正競争防止法」です。

①不正競争防止法に抵触する場合

同一もしくは類似の商号を利用することで、すでにその商号を利用している会社の営業活動を侵害する場合には、差し止め請求を受ける場合があります。そのため、完全の同一の商号でなくともすでに使用している会社に影響がある場合には、類似の事業で類似の商号を使用することはあまりおすすめしません。

不正競争防止法第4条:故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、第十五条の規定により同条に規定する権利が消滅した後にその営業秘密又は限定提供データを使用する行為によって生じた損害については、この限りでない。

②商標登録をされている場合

すでにその商号が商標登録されており、事業内容が類似する場合には商標の侵害請求を受ける可能性があります。商標に関しては、先に使用している者ではなく、あくまで先に商標登録をしている人の権利が強いため「先に使用していました」ということは通用しません。弊所では、弁理士と提携の上、事前に商標の侵害可能性の有無について調査も行っております。こちらについては、自分自身の商号やサービスについて早めに登録を行うことをおすすめしています。先述のとおり、先に使用していた者ではなく商標登録をした者が権利を持つため、事業が軌道に乗ったことにより、全く関係のない者が商標登録を行う危険があるためです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。会社にとっての商号は、単なる名前ではなく経済活動を行うための重要な存在となっています。商号自体があなたの事業にとって重要な役割を持つことも珍しくはありません。商号を付ける際には、ご自身の持つこだわりに加えて法的な制限にも留意しながら決定していきましょう。

関連動画

関連記事

あわせて読みたい
【会社設立】株式会社と合同会社の比較 【会社設立】株式会社と合同会社の比較 司法書士の植田麻友です。 事業を拡大する中で法人化を検討されることは多いと思います。法人といっても「株式会社」「合同会社...
あわせて読みたい
【会社設立】freee会社設立のメリットとデメリット 【会社設立】freee会社設立の メリットとデメリット 司法書士の植田麻友です。 皆様は、freee会社設立というサービスをご存知でしょうか。 freee株式会社は法人・個人事...
あわせて読みたい
【会社設立】株式会社を設立する準備/取締役編 【会社設立】株式会社を設立する準備/取締役編 司法書士の植田麻友です。 新たに株式会社を設立する場合、また経営判断の中で取締役を追加する場合ということがあるかと...

 

 

当事務所のご案内

私が記事を書きました。

中小企業をを元気にする活動をしています!!

司法書士・行政書士/植田麻友

1988年岸和田生まれ、堺育ち。2011年司法書士試験合格。父親が中小企業経営者であったが、幼い頃に会社が倒産し、貧しい子供時代を過ごした経験から中小企業支援を決意。経営者とその家族まで支援できる企業・事業承継支援を行う。

SHARE

オンライン面談のご予約は
下記フォームより承っております。
お気軽にお問い合わせください。

  • URLをコピーしました!