【会社設立】株式会社を設立する準備/商号の定め方

【会社設立】株式会社を設立する準備/商号編

司法書士の植田麻友です。

株式会社を設立するにあたって決めるべき事項のひとつとして「商号」があります。商号は、つまり会社の名前です。商号自体は、一度決めると変えることができないものではないですが、やはり一番初めの商号というものは会社の経営の中でも重要な存在となります。

商号は自由に定めることができるのか

会社の商号は自由につけることができるのでしょうか。これは完全に自由ではなく、一定の制限があります。商号は、株式会社を設立(登記)する場合に必ず必要となります。主に下記の点に注意してください。

Q 株式会社は前と後ろ、どちらに入れるのは良いですか。

A これは好みです。ご自身の商号とバランスの良い方を考えてみましょう。ただし、株式会社を設立する場合、必ず「株式会社」と入れなくてはいけません。ちなみに、○○株式会社××のように間に株式会社を入れることはできません。

Q 定めることのできない商号はありますか。

A まず公序良俗に反するような商号はNGです。また、 「銀行」や「信託」「生命保険」等業種による制限がある場合があります!また、登記上は同じ住所に同じ商号の会社を設立することができません。同じ商号(同一商号)については後ほど解説いたしますが、同一住所・同一商号はなかなか起こり得ないことです。それでも念のため事前に調べておくことが良いでしょう。

Q おすすめの商号の定め方はありますか。

A これは私の個人的な価値観なのですが、読みづらいアルファベットの単語は避けた方が良いと考えています。決して悪くはないのですが、ご自身以外が想定しづらい読み方の場合、相手がその分考えることになるため、造語の仕様の場合には、カタカナの方が良いのではないか?とお話させていただくこともあります。例えば、商号はカタカナで、ロゴや名刺のデザインはアルファベット表記でというのも選択肢のひとつです。商号は、その後会社の名前となるものですから、周りの反応も考慮して検討することもひとつだと考えております。

ローマ字の使用について

以前は商号にローマ字・記号の使用はできなかったのですが、現在は可能です。しかし、使用できる記号には制限がありますので、確認していきましょう。

商号登記に用いることができる符号

  (1)ローマ字(大文字及び小文字)
  (2)アラビヤ数字
  (3) 「&」(アンパサンド)
     「’」(アポストロフィー)
     「,」(コンマ)
     「‐ 」(ハイフン)
     「.」(ピリオド)
     「・」(中点)

※(3)の符号は、字句(日本文字を含む。)を区切る際の符号として使用する場合に限り用いることができます。したがって、商号の先頭又は末尾に用いることはできません。ただし、「.」(ピリオド)については、省略を表すものとして商号の末尾に用いることもできます。※なお、ローマ字を用いて複数の単語を表記する場合に限り、当該単語の間を区切るために空白(スペース)を用いることもできます。

つまり、株式会社MaMuという会社を設立する場合に、「株式会社Ma Mu」とスペースを間に設けることはできますが「株式会社マム」の場合「株式会社マ ム」とカタカナの間にスペースを設けることはできません。ローマ字は大文字と小文字を混在することも可能です。

商号に記号やローマ字使用は可能です!

「同一住所で同一の商号を用いることができません!」とは?

先述のとおり、同一の住所に同一の商号の株式会社(法人形態を問わない)を設立することができません。これは、全く同じ住所ですので、同じ市の中で同じ商号の株式会社を設立することは可能です!ただし、あくまで登記簿上は可能ということですので、別の法律に抵触する可能性がある点はご留意いただければと存じます。(商標や不正競争防止法の問題点はあります。後述いたします)

また、同一の商号というのも完全に同じという意味ですので、下記は同一の商号にあたりません。

✔ ABC株式会社と株式会社ABCは別の商号

✔ ABC株式会社とABC合同会社は別の商号

✔ ABC株式会社とエービーシー株式会社は別の商号

一方で、この同一性には読み方は含まれませんので、「株式会社植田」としたものが「ウエダ」「ウエタ」と読み方が違っていても、同一の商号となる点は注意が必要です。また、現在は商号については読み方についても登録されています。読み方については登記簿には記載されておりません。

同じ住所で同じ名前の会社は存在できません!

似たような名前は許されるのか?

結論としては、可能な場合とそうでない場合があります。注意すべきなのは「商標登録」と「不正競争防止法」です。

①不正競争防止法に抵触する場合

同一もしくは類似の商号を利用することで、すでにその商号を利用している会社の営業活動を侵害する場合には、差し止め請求を受ける場合があります。そのため、完全の同一の商号でなくともすでに使用している会社に影響がある場合には、類似の事業で類似の商号を使用することはあまりおすすめしません。事前に、インターネットで類似事業で類似の商号の会社がないか検索することをおすすめしております。

不正競争防止法第4条:故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、第十五条の規定により同条に規定する権利が消滅した後にその営業秘密又は限定提供データを使用する行為によって生じた損害については、この限りでない。

②商標登録をされている場合

すでにその商号が商標登録されており、事業内容が類似する場合には商標の侵害請求を受ける可能性があります。商標に関しては、先に使用している者ではなく、あくまで先に商標登録をしている人の権利が強いため「先に使用していました」ということは通用しません。弊所では、弁理士と提携の上、事前に商標の侵害可能性の有無について調査も行っております。こちらについては、自分自身の商号やサービスについて早めに登録を行うことをおすすめしています。先述のとおり、先に使用していた者ではなく商標登録をした者が権利を持つため、事業が軌道に乗ったことにより、全く関係のない者が商標登録を行う危険があるためです。

弊所では、株式会社の設立登記の準備段階において、外部の弁理士に商標の侵害調査を依頼しております。これは、類似の商標で類似の事業がないか事前にチェックを行うものであり、調査時点の侵害を確認するものであります。もちろん、この時点で侵害がなくても、以降に商標登録される場合もありますので、可能であれば、商標登録まですすめることを弊所としてはおすすめしております。

設立後に商号を変えることは可能か。

会社設立後でも商号を変更することは可能です。その場合、会社の実印も登録変更することが一般的ですので、新たな印鑑の作成が必要となります。ほとんどないですが、旧商号の印鑑をそのまま実印登録しておくことも、登記上は問題ございません。急ぎの場合に、印鑑の作成が間に合わなければ、印鑑の登録は後日というケースもあるかと考えます。

法務局には、会社実印の登録変更が必要ですので、新たに印鑑(改印)届書を提出する必要があります。この書類は会社実印を登録する代表取締役の個人の実印の押印と印鑑証明書の添付が必要となりますので、必ずご準備をお願いいたします。

新しい商号の会社の印鑑の作成も忘れずに!

株式会社設立手続きにかかる費用について

1.株式会社設立登記申請

報酬:140,800円(税込)

実費:登録免許税15万円~+公証人手数料31,120円~

2.代表取締役住所非表示措置(配達証明郵便の送付を行う場合) 66,000円~(+郵便費用実費)

3.代表取締役住所非表示措置(司法書士が本店の実在証明を行う場合)88,000円~

※ただし、2.の場合には会社様とのヒアリングによってお受けできない場合がありますので、ご留意ください。

4.代表取締役住所非表示措置の終了 33,000円~

1.商号変更登記申請(※設立後いつでも可能です)

報酬:64,900円(税込)

実費:登録免許税 3万円 

司法書士事務所May(以下、当事務所という)は、司法書士業務等を通じてお客様に幅広いサービスを提供する企業として、個人情報の重要性を認識し、お客様に安心して当事務所をご利用いただくために、事務所一丸となって個人情報保護の推進・徹底につとめております。
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1.利用目的

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お問い合わせ内容にお答えするためのご連絡
上記に附随するお客様への各種診断(ISD個性心理学を用いた診断)、各種情報の提供、書類送付等業務
2.個人情報の第三者提供について

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3.個人情報の開示等の手続

個人情報の開示・訂正・削除等を請求される方は、当事務所窓口にて受付いたします。詳細は、個人情報の開示等の手続についてをご覧下さい。

なお、個人情報の提供につきましては本来任意のものではございますが、個人情報の全部または一部が不足している場合には、当事務所からのご案内及び情報のご提供ができない場合がございます。ご理解、ご協力の程宜しくお願い申し上げます。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。会社にとっての商号は、単なる名前ではなく経済活動を行うための重要な存在となっています。商号自体があなたの事業にとって重要な役割を持つことも珍しくはありません。商号を付ける際には、ご自身の持つこだわりに加えて法的な制限にも留意しながら決定していきましょう。

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司法書士・行政書士/植田麻友

1988年岸和田生まれ、堺育ち。2011年司法書士試験合格。父親が中小企業経営者であったが、幼い頃に会社が倒産し、貧しい子供時代を過ごした経験から中小企業支援を決意。経営者とその家族まで支援できる企業・事業承継支援を行う。

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